【国試対策】小児の循環器系チアノーゼ疾患:Fallot四徴症(TOF)・三尖弁閉鎖症(TA) 鑑別方法とその治療法
ど^^も。
今回は、【国試対策】小児の循環器系チアノーゼ疾患:Fallot四徴症(TOF)・三尖弁閉鎖症(TA) 鑑別方法とその治療法
について紹介していきたいと思います。
小児のチアノーゼ疾患は何種類かあります。
例えば、呼吸器系疾患では、急性細気管支炎。
これは主にRSウイルスによるもので、4ヶ月くらいの乳児に発症します。
呼気性呼吸困難とチアノーゼをきたすので、小児喘息と間違えやすいですが、小児喘息は発症年齢が3〜5歳です。
発症する年齢で鑑別できます。
そこで今回は、小児チアノーゼ疾患の中でも、循環器系チアノーゼ疾患の鑑別を紹介していきたいと思います。
そもそもチアノーゼとは?
チアノーゼとは、血液中の酸素が不足し、唇や指先などの皮膚や粘膜が青紫色に変化した状態を指します。
Fallot四徴症(TOF)
Fallot四徴症は、心室中隔欠損症(VSD)+肺動脈狭窄症+大動脈右室騎乗+右室肥大をきたす疾患です。
チアノーゼは、運動量の増加とともに出現するので、育っていくにつれてどんどんひどくなり、また啼泣するとチアノーゼが悪化してしまいます。
右室負荷があるので、心電図は右軸偏位が起こります。
治療法
治療法は薬物療法と手術療法があります。
薬物療法
薬物療法では、α刺激薬・β遮断薬(プロプラノロール)が用いられます。
α刺激薬は下肢などの血流を閉塞することで、肺血流量を増やす働きがあります。
β遮断薬は心筋の収縮能を落とす働きがあるため、肺動脈の狭窄が緩和され、肺血流量が増えます。
ちなみにイソプロテレノールはβ刺激薬。
TOFでは絶対に禁忌!!!
手術療法
手術療法では、まずは姑息的手術として、人工血管を使うBlalock-Taussig手術変法をし、肺動脈血流量を増加させ育てます。(いきなり根治的治療をすると、肺動脈が圧に耐えられない)
その後、根治的治療として、VSD閉鎖+肺動脈狭窄解除術(右室流出路再建術)を行います。
三尖弁閉鎖症(TA)
三尖弁閉鎖症は、三尖弁閉鎖+心房中隔欠損症(ASD)が必須です。(ASDがないと、そもそも体循環が起こらない)
またこれらに加えて、心室中隔欠損症(VSD)か動脈管開存症(PDA)を合併します。(合併しなければ、肺に血流が行かない)
TAも肺血流が少ないのでチアノーゼが出現します。
また、大動脈が還流が素直でないため、著名なうっ血肝も見られます。
左心系の肥大
TAでは左心系が肥大します。
というのも、左心系が肥大して筋力増加しなければ、肺動脈血流が保てないからです。
なので心電図は左軸偏位します。(ここがTOFとの重要な鑑別点)
治療法
これも薬物療法と手術療法があります。
薬物療法
薬物療法では、プロスタグランジン静注が行われます(PDAを開いて、肺血流を保つ)
なのでこの療法はTAの中でも、PDA開存タイプに有効です。
手術療法
姑息手術として、Blalock-Taussig手術・BAS(バルーン心房中隔裂開術)が行われます。これらは、とりあえずは穴を大きくするために行います。
根治手術としては、Fontan手術を行います。
このようにTOFとTAでは似通っている症状が多々あります。
しっかりと鑑別して、正しい解答を導きましょう!